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2025年10月29日

サックスは木管楽器なのに金属でできている?音楽の不思議な世界

こんにちは。名古屋のライブ喫茶ELANです。

当店には往年の名曲を収めたレコードが所狭しと並び、ジャズやクラシックなど様々な音楽をお楽しみいただけます。そんな音楽に囲まれた空間で、お客様から時々こんな質問をいただくことがあります。

「サックスって金属でできているのに、なんで木管楽器なんですか?」

確かに不思議ですよね。サックスはピカピカと輝く金属製の楽器。見た目はトランペットやトロンボーンといった金管楽器の仲間のように見えます。でも実は、サックスは立派な木管楽器なのです。

今日は当店でジャズの生演奏を聴きながら、この音楽の不思議について深く掘り下げてみたいと思います。コーヒーを片手に、ゆったりとお読みいただければ幸いです。

木管楽器と金管楽器の違いとは

楽器の分類について、まずは基本からお話ししましょう。

オーケストラやジャズバンドで使われる管楽器は、大きく「木管楽器」と「金管楽器」の2つに分けられます。多くの方が「木でできているか金属でできているか」で分類されていると思われるかもしれません。当店のお客様の中にも、そう思っていらっしゃる方が少なくありません。

しかし実際には、素材ではなく「音の出し方」によって分類されているのです。

金管楽器は、演奏者が唇を震わせることで音を出します。マウスピースに唇を当てて、唇を振動させるのです。トランペット、トロンボーン、ホルン、チューバなどがこれに当たります。当店でもジャズトランペットの演奏をご披露することがありますが、演奏者の方の唇の動きを見ていると、とても繊細な技術が必要なことがわかります。

一方、木管楽器は「リード」という薄い板を振動させて音を出すか、あるいは楽器本体のエッジに息を当てて音を出します。フルート、クラリネット、オーボエ、ファゴット、そしてサックスがこのグループに含まれます。

つまり、サックスは金属製ですが、音の出し方が木管楽器の仲間なので木管楽器に分類されるというわけです。

サックスの音の出る仕組み

サックスがなぜ木管楽器なのか、もう少し詳しく見ていきましょう。

サックスには「リード」と呼ばれる薄い板が取り付けられています。このリードは、実は天然の葦という植物から作られているのです。演奏者がマウスピースをくわえて息を吹き込むと、このリードが振動して音が生まれます。

当店で演奏されるサックス奏者の方にお話を伺ったことがあります。「リードは消耗品で、湿度や気温によってコンディションが変わるんです」とのこと。演奏前には必ず水で湿らせて、リードを適度に柔らかくする必要があるそうです。一枚のリードの寿命は、演奏頻度にもよりますが数週間から1ヶ月程度。プロの演奏家は常に複数のリードを用意し、その日の状態の良いものを選んで使うのだとか。

このリードの振動が、サックス本体の管の中で共鳴し、あの独特の豊かな音色を作り出します。管の長さや形、そして指で押さえるキーの組み合わせによって、様々な音程を奏でることができるのです。

クラリネットも同じようにリードを使って音を出します。ですから、クラリネットも木管楽器です。実はクラリネットには木製のものもありますが、プラスチック製やエボナイト製のものもあります。それでもすべて木管楽器なのは、リードを使って音を出すからなのです。

サックスの誕生秘話

サックスという楽器には、興味深い歴史があります。

この楽器を発明したのは、アドルフ・サックスというベルギーの楽器製作者です。1840年代のことでした。彼の名前がそのまま楽器の名前になっているのです。

アドルフ・サックスは、木管楽器の表現力の豊かさと、金管楽器のパワフルな音量を併せ持つ楽器を作りたいと考えました。そこで生まれたのが、木管楽器の発音原理(リード)を使いながら、金属製の管体を持つという革新的な楽器だったのです。

当時のヨーロッパでは、オーケストラや軍楽隊で使える新しい楽器が求められていました。サックスは、その要求に見事に応えた楽器でした。木管楽器の繊細さと金管楽器の力強さを兼ね備え、しかも演奏しやすい。まさに革命的な発明だったのです。

しかし、サックスの発明は必ずしも順風満帆ではありませんでした。既存の楽器製作者たちからの反発も強く、アドルフ・サックス自身も何度も破産の危機に見舞われたといいます。それでも彼は諦めず、1846年にフランスでサックスの特許を取得しました。

当店のレコードコレクションの中には、サックスの歴史を物語る貴重な録音も含まれています。初期のクラシック音楽での使用例から、ジャズの世界でサックスが花開いていく過程まで、音楽の歴史とともにサックスの進化を感じることができます。

ジャズとサックスの深い関係

サックスという楽器を語る上で、ジャズとの関係は切り離せません。

20世紀に入ると、サックスはジャズ音楽の世界で中心的な楽器となりました。チャーリー・パーカー、ジョン・コルトレーン、ソニー・ロリンズなど、数多くの伝説的なサックス奏者がジャズの歴史に名を刻んでいます。

当店ELANでも、定期的にサックス奏者をお招きして生演奏をお楽しみいただいています。生のサックスの音色は、録音では決して味わえない迫力と繊細さがあります。広い店内に響き渡るサックスの音は、まるで楽器が語りかけてくるよう。お客様からも「生で聴くサックスの音は本当に素晴らしい」というお声を多くいただきます。

ジャズでサックスが重宝されたのには理由があります。まず、音域が広く表現力が豊か。低音から高音まで滑らかに演奏でき、感情を込めた表現がしやすいのです。また、他の楽器との相性も良く、ピアノやドラム、ベースとのセッションで存在感を発揮します。

さらに、即興演奏との相性の良さも見逃せません。ジャズの醍醐味である即興演奏において、サックスは奏者の感情をダイレクトに表現できる楽器なのです。当店でのライブ演奏を聴いていると、同じ曲でも演奏するたびに違った表情を見せてくれます。その場の雰囲気や奏者の気分によって、音色が微妙に変化する。それがジャズサックスの魅力です。

サックスの種類と音色の違い

サックスには実は様々な種類があります。

最もよく知られているのは、アルトサックスとテナーサックスでしょう。アルトサックスは比較的高めの音域を担当し、明るく軽やかな音色が特徴です。チャーリー・パーカーが愛用していたことで有名です。

テナーサックスはアルトより少し大きく、低めの音域を担当します。力強く、ソウルフルな音色が魅力。ジョン・コルトレーンやソニー・ロリンズといった巨匠たちが使用していました。当店のライブでも、テナーサックスの深く温かみのある音色が店内を包み込むと、お客様は皆うっとりとした表情になります。

さらに大きなバリトンサックスは、さらに低い音域を担当し、重厚で落ち着いた音色を持っています。ビッグバンドなどでは欠かせない存在です。

逆に小さなソプラノサックスは、高音域を担当し、透明感のある鋭い音色が特徴。ジャズの巨匠ジョン・コルトレーンの晩年の作品で多用されたことで知られています。

これらすべてのサックスが金属製であり、そしてすべてが木管楽器なのです。大きさや音域は違っても、リードを使って音を出すという基本原理は同じ。それぞれが独特の個性を持ちながら、木管楽器ファミリーの一員として音楽を彩っています。

現代のサックス製造技術

現代のサックスは、高度な技術によって製造されています。

主な素材は真鍮という銅と亜鉛の合金です。これに金メッキや銀メッキ、ラッカー塗装などを施すことで、あの美しい輝きが生まれます。表面の仕上げによって、音色も微妙に変化するというから驚きです。

当店にいらっしゃるサックス奏者の方々に伺うと、楽器選びは非常に重要なのだそうです。同じモデルのサックスでも、個体によって音色が異なり、吹き心地も変わってくる。プロの演奏家は、数多くの楽器を試奏して、自分に合った一本を見つけ出すのだとか。

楽器の調整も繊細な作業です。キーと呼ばれる音程を変えるための装置は、精密に調整されている必要があります。わずかなズレでも音程が狂ったり、音が出にくくなったりします。定期的なメンテナンスは、良い演奏のために欠かせません。

日本でも優れたサックス製造メーカーがあります。ヤマハやヤナギサワといった日本のメーカーは、世界中のプロ演奏家からも高い評価を受けています。精密な製造技術と品質管理により、安定した品質の楽器を提供しています。

ELANで楽しむサックスの調べ

当店ライブ喫茶ELANでは、定期的にサックスの生演奏をお楽しみいただけます。

広く落ち着いた雰囲気の店内は、音響にもこだわっています。サックスの繊細な音色から力強い高音まで、楽器本来の魅力を存分に味わっていただける空間です。往年の名曲を収めたレコードが並ぶ店内で、生の演奏を聴く贅沢な時間。これこそがELANの醍醐味です。

演奏者と観客の距離が近いのも、当店の特徴です。大きなコンサートホールでは味わえない、アットホームな雰囲気の中で音楽を楽しめます。演奏者の息遣いまで聞こえてくるような臨場感。リードが振動する微かな音まで感じられる距離感。これは小さなライブ喫茶ならではの魅力だと自負しています。

美味しいコーヒーを飲みながら、ゆったりとサックスの演奏に耳を傾ける。日常の喧騒を忘れて、音楽の世界に浸る。そんな時間を過ごしていただきたいと思っています。

音楽に詳しくない方でも大歓迎です。「サックスって金属なのに木管楽器なんですね」という発見から始まる音楽の世界。当店でその不思議と魅力を、ぜひ体感してください。

まとめ:音楽の奥深さを感じて

サックスが金属製なのに木管楽器である理由、お分かりいただけたでしょうか。

楽器の分類は素材ではなく音の出し方で決まる。リードという薄い板を振動させて音を出すサックスは、たとえ金属でできていても木管楽器なのです。この一見矛盾するような事実の中に、音楽の奥深さと面白さがあります。

アドルフ・サックスという一人の楽器製作者の情熱から生まれたこの楽器は、今では世界中で愛される存在となりました。クラシック音楽からジャズ、ポップスまで、幅広いジャンルで活躍しています。

当店ELANでは、こうした音楽の魅力を、生演奏とレコードコレクション、そして美味しいコーヒーとともにお届けしています。名古屋で音楽を心ゆくまで楽しみたい方、落ち着いた空間でゆったりとした時間を過ごしたい方、ぜひ当店にお越しください。

サックスの音色を聴きながら、音楽の不思議な世界について語り合いませんか。往年の名曲が詰まったレコードも、皆様をお待ちしています。

音楽とコーヒーを楽しむ隠れ家、ライブ喫茶ELAN。皆様のご来店を心よりお待ちしております。

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Cafe & Music ELAN 

やわらかな音と、香り高い一杯を。

名古屋市熱田区外土居町9-37
光大井ハイツ1F 高蔵西館102
052-684-1711
 営業時間|10:00〜23:00
定休日|月曜・第1&第3火曜日
アクセス|金山総合駅より大津通り南へ徒歩15分
市営バス(栄21)泉楽通四丁目行き「高蔵」下車すぐ
地下鉄名城線「西高蔵」駅より東へ徒歩7分
JR熱田駅より北へ徒歩9分

ゆったりと流れる時間のなかで、
ハンドドリップのコーヒーとグランドピアノの音色がそっと寄り添います

あなたの今日が、少しやさしくなるように。
Live Café ELAN でお待ちしております