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2025年10月24日
レコードのA面・B面の由来を徹底解説〜音楽喫茶で知る、アナログレコードの奥深い世界〜
こんにちは。名古屋のライブ喫茶ELANです。当店には往年の名曲を収めたレコードが所狭しと並び、毎日多くのお客様が音楽とコーヒーを楽しまれています。
店内でレコードをかけていると、よくお客様から「A面、B面って何ですか?」「どうしてそう呼ぶんですか?」といったご質問をいただきます。今日はそんな疑問にお答えするべく、レコードのA面・B面の由来について詳しくお話しします。
レコードのA面・B面とは何か
レコードのA面・B面とは、アナログレコード盤の表と裏を区別するための呼び方です。シングルレコードの場合、通常は片面に1曲ずつ、合計2曲が収録されています。
当店でも多くのシングルレコードを所蔵していますが、レコードジャケットをよく見ると「A面」「B面」という表記があります。A面には主にメインとなる楽曲が収録され、B面にはカップリング曲と呼ばれる楽曲が入っているのが一般的です。
この呼び方は日本だけでなく、世界共通です。英語圏では「A-side」「B-side」と呼ばれ、音楽業界では当たり前のように使われてきました。レコードが主流だった時代、ラジオのDJは「次はこのレコードのA面をかけます」といった言い方をしていたものです。
当店のお客様の中には、「昔はラジオでリクエストするとき、A面B面を指定したものだよ」と懐かしそうに話される方もいらっしゃいます。そうした時代を知る方々にとって、A面B面という言葉は単なる記号ではなく、音楽との思い出が詰まった呼び方なのです。
A面・B面という呼び方の由来
では、なぜ「A面」「B面」と呼ぶようになったのでしょうか。この由来には諸説ありますが、最も有力なのはアルファベット順に単純に命名したという説です。
レコードが登場した初期の時代、音楽業界では複数の楽曲を区別する必要がありました。そこで最もシンプルな方法として、アルファベットの最初の文字である「A」と次の文字である「B」を使って表と裏を区別したのです。
当店で扱っているSPレコード(毎分78回転する古いレコード)の時代から、すでにこの呼び方は使われていました。SPレコードは録音できる時間が非常に短く、片面3分程度しか収録できませんでした。そのため複数の面に分けて録音する必要があり、A面、B面という区別が重要だったのです。
実際、クラシック音楽の長い楽曲などは、複数枚のレコードを使い、A面、B面、C面、D面と続いていくこともありました。当店にも戦前のクラシックレコードがありますが、4枚組、6枚組といったセットになっており、面の数も相当なものです。
こうして音楽業界全体で「A面がメイン、B面がサブ」という認識が定着していったのです。
A面が「メイン曲」とされる理由
音楽業界では、シングルレコードのA面に最も力を入れた楽曲、つまりヒットを狙う楽曲を収録するのが慣例となっています。ではなぜA面がメインなのでしょうか。
これにはレコードプレーヤーの構造と人間の心理が関係しています。レコードをかけるとき、私たちは自然とレコードを取り出し、まず最初に見える面をプレーヤーに置きます。その「最初の面」がA面です。つまり、A面は物理的に最初に聴かれる可能性が高い面なのです。
当店でも、お客様からリクエストをいただいたとき、何も指定がなければA面からかけるのが自然な流れです。レコード会社もそれを理解していたため、売り出したい楽曲、ラジオで流してほしい楽曲をA面に配置したのです。
昭和の歌謡曲の黄金時代、レコード会社は莫大な宣伝費をかけてA面の楽曲をプロモーションしました。テレビの歌番組でもA面の曲が歌われ、ラジオでもA面が優先的に流されました。こうしてA面は「その歌手の代表曲」「売れ筋の曲」という位置づけが確立していったのです。
当店に来られる年配のお客様は、「あの頃はA面の曲を覚えれば、カラオケでも困らなかった」と笑いながら話されます。それほどA面の楽曲は社会に浸透していたのです。
B面の隠れた名曲たち
A面がメインならB面はサブかというと、決してそうではありません。むしろ音楽ファンの間では「B面にこそ名曲がある」という考え方が根強くあります。
B面には、A面のような商業的な制約が少なかったため、アーティストが自由に表現した楽曲が収録されることがありました。実験的な曲、マニアックな曲、アーティストの本音が詰まった曲など、A面とは違った魅力を持つ楽曲が多いのです。
当店でも「このアーティストのB面をかけてほしい」というリクエストをいただくことがあります。そうしたお客様は皆、その楽曲への深い愛情を持っておられます。B面を知っているということは、そのアーティストの真のファンである証とも言えるでしょう。
例えば、ビートルズの「ストロベリー・フィールズ・フォーエバー」は当初B面として発売されましたが、今では彼らの代表曲の一つとして認識されています。また、日本の歌謡曲でも、B面の曲が後年になって再評価され、カバーされるケースが数多くあります。
当店には音楽好きの常連さんが多くいらっしゃいますが、そうした方々との会話で「実はB面の方が好きなんだ」という話題になることも少なくありません。B面にはアーティストの素顔が見える、だからこそ愛される楽曲が多いのです。
レコード時代の音楽文化とA面・B面
レコードが音楽の主役だった時代、A面・B面という概念は音楽文化そのものに深く根付いていました。当時の音楽ファンは、レコードを買うとき「A面もB面も聴く」のが当たり前でした。
当店のような音楽喫茶では、お客様が「B面もかけてください」とリクエストされることがよくあります。これはレコード時代の名残であり、楽曲を「面」で認識する文化の表れです。CDやデジタル音楽が主流になった今では、こうした感覚は薄れつつありますが、レコードで音楽を聴く場所では今も生きています。
レコード時代、音楽ファンは限られた予算の中でどのシングルを買うか真剣に悩みました。そしてレコードを買ったら、A面もB面も擦り切れるまで聴いたのです。針を落とし、音楽が流れ出す瞬間のワクワク感、そしてA面が終わってレコードをひっくり返し、B面をかける一連の動作。これらすべてが音楽体験の一部でした。
当店にいらっしゃるお客様の中には、「レコードをひっくり返す動作が好きだった」とおっしゃる方もいます。デジタルのように瞬時に次の曲に飛ぶのではなく、物理的にレコードを扱う行為そのものが、音楽をより深く味わうための時間だったのです。
CDやデジタル時代におけるA面・B面の変化
1980年代後半からCDが普及し始めると、A面・B面という概念は徐々に変化していきました。CDには物理的な表裏がないため、「A面」「B面」という区別が意味を持たなくなったのです。
しかし、音楽業界ではCDの時代になってもしばらく「A面曲」「B面曲」という言い方が残りました。CDシングルでも、メインの楽曲を「表題曲」、カップリング曲を「B面曲」と呼ぶ習慣が続いたのです。
当店でも、お客様が「あの曲のB面」という言い方をされることがあります。実際にはCDで発売された楽曲であっても、かつてのレコード時代の呼び方が自然と出てくるのです。これは音楽文化の中に深く根付いた概念である証拠でしょう。
さらにデジタル配信の時代になると、A面・B面という概念はほぼ消滅しました。音楽配信サービスでは、すべての楽曲が平等に並び、リスナーは好きな曲を自由に選べます。「シングルのカップリング曲」という概念すら薄れつつあります。
しかし当店のようにレコードで音楽を提供する場所では、今もA面・B面という文化が生き続けています。若いお客様がいらっしゃったとき、「これがA面、裏がB面です」と説明すると、興味深そうに聞いてくださいます。レコードという物理メディアを通じて、音楽の歴史や文化を感じていただけるのです。
ライブ喫茶ELANで味わうレコード文化
当店ライブ喫茶ELANでは、広く落ち着いた雰囲気の店内で、往年の名曲を収めたレコードを数多く所蔵しています。これらのレコードは、音楽の歴史を物語る貴重な文化遺産でもあります。
お客様がコーヒーを飲みながら、レコードから流れる音楽に耳を傾けている姿を見ると、私たちも幸せな気持ちになります。デジタル音源とは違う、レコード特有の温かみのある音色は、多くの方に愛されています。
当店では、お客様のリクエストに応じてA面もB面もおかけします。「このアーティストのB面が聴きたい」というマニアックなリクエストも大歓迎です。レコードをコレクションしている私たちスタッフも、音楽について語り合える時間を楽しみにしています。
また、レコードをかける際の一連の動作も、当店での音楽体験の一部です。レコードをジャケットから取り出し、慎重にターンテーブルに置き、針を落とす。そして音楽が始まる瞬間。こうした儀式的な行為が、音楽をより特別なものにしてくれるのです。
店内にはさまざまな年代のお客様がいらっしゃいます。レコード世代の方は懐かしさを、若い世代の方は新鮮さを感じながら、同じ空間で音楽を楽しんでいます。レコードというアナログメディアが、世代を超えた音楽体験を提供しているのです。
A面・B面から学ぶ音楽の楽しみ方
A面・B面という概念は、私たちに音楽の楽しみ方を教えてくれます。それは「アルバム全体を通して聴く」「アーティストの意図を感じ取る」という姿勢です。
現代の音楽配信サービスでは、好きな曲だけを選んで聴くことが一般的です。それも一つの楽しみ方ですが、レコード時代の音楽体験とは異なります。レコードでは、A面もB面も含めて一つの作品として楽しむのが自然でした。
当店でレコードをかけるとき、私たちは基本的にA面からかけます。そしてA面が終わったら、B面もかけることが多いです。なぜなら、アーティストはA面とB面をセットで考えて制作していることが多いからです。
例えば、ある楽曲のテーマがあり、それに対する答えや別の視点がB面に込められているケースもあります。A面で明るい曲を配置し、B面で静かな曲を入れることで、コントラストを作り出している作品もあります。
こうした工夫を感じ取るためには、A面もB面も聴くことが大切です。そして、レコードをひっくり返すという物理的な行為の中に、音楽をじっくり味わう時間が生まれるのです。
名古屋で楽しむアナログレコードの世界
名古屋には音楽を愛する方が多く、当店にも連日多くのお客様にお越しいただいています。ゆったりとしたくつろぎの時間の中で、レコードから流れる音楽を楽しんでいただけることが、私たちの喜びです。
当店のレコードコレクションには、昭和の歌謡曲、ジャズ、クラシック、ロックなど、さまざまなジャンルの作品があります。それぞれにA面・B面があり、それぞれに物語があります。音楽喫茶という空間だからこそ、そうした物語を丁寧にお客様に届けることができるのです。
デジタル時代の今だからこそ、アナログレコードの価値が再認識されています。レコードブームも起きており、若い世代にもレコードの魅力が広がっています。A面・B面という古き良き概念も、新しい世代に受け継がれていくでしょう。
ライブ喫茶ELANは、音楽とコーヒーを楽しめる喫茶店として、これからもレコード文化を大切にしていきます。A面もB面も、すべてが音楽体験の一部です。ぜひ当店で、往年の名曲に耳を傾けながら、ゆったりとした時間をお過ごしください。
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Cafe & Music ELAN
やわらかな音と、香り高い一杯を。
名古屋市熱田区外土居町9-37
光大井ハイツ1F 高蔵西館102
052-684-1711
営業時間|10:00〜23:00
定休日|月曜・第1&第3火曜日
アクセス|金山総合駅より大津通り南へ徒歩15分
市営バス(栄21)泉楽通四丁目行き「高蔵」下車すぐ
地下鉄名城線「西高蔵」駅より東へ徒歩7分
JR熱田駅より北へ徒歩9分
ゆったりと流れる時間のなかで、
ハンドドリップのコーヒーとグランドピアノの音色がそっと寄り添います
あなたの今日が、少しやさしくなるように。
Live Café ELAN でお待ちしております
