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2026年01月13日

レコードクリーニングの正しいやり方とNG行動―ライブ喫茶ELANが教える、音を蘇らせる手入れの極意―

かすかなノイズの向こうに流れるメロディ。アナログレコードを聴くときの、あの空気の柔らかさと温もり。ライブ喫茶ELANでも、週末には常連のお客様が大切な一枚を持ち込み、「今日はこれをかけて」と嬉しそうに話しかけてくださいます。

しかし、レコードというのは繊細なもの。ほこりや手の脂が付着すれば、せっかくの音がくもり、針にも負担がかかってしまいます。長く、そして最高の音で楽しむためには、正しいクリーニングが欠かせません。今回は、名古屋のライブ喫茶ELANが実際に行っているレコードの正しい手入れ方法と、やってはいけないNG行動を詳しくご紹介します。


レコードの音が劣化する原因とは?

まず押さえておきたいのは、「なぜ音が悪くなるのか」という基本です。原因が分かれば、対処も正しくなります。

1. ほこり・静電気による汚れの付着

レコードは静電気を帯びやすく、再生するたびに細かなちりを引き寄せてしまいます。特に冬場の乾燥した季節は要注意です。

2. 皮脂や手あかの酸化

指で盤面を直接触ると、皮脂が酸化して膜を作り、針が滑りにくくなります。結果、スクラッチノイズが増え、音がにごります。

3. 経年によるカビや変形

湿度の高い部屋や直射日光の下に置くと、カビや反りの原因になります。私たちELANでも、湿度と温度の管理は一年を通して徹底しています。

ある常連さんが、30年前のジャズレコードを持ってきたことがあります。盤面にうっすら白い曇りがあり、最初は「もう音がダメかな」と心配されていました。しかし、正しい手順でクリーニングを行ったところ、驚くほど音が蘇り、「こんなにクリアだったんだ!」と目を丸くされていました。レコードの生命力には、ケア次第でまだまだ可能性があるのです。


正しいレコードクリーニングの基本ステップ

では、実際にどのようにお手入れすればよいのでしょうか。ここからは、ELANが実践しているクリーニング方法を、初心者の方にも分かりやすくご紹介します。

1. 手を清潔にしてから作業を始める

手の汚れはレコードの大敵。まず、中性洗剤でしっかり手を洗い、乾いた清潔な手で扱いましょう。できれば綿手袋を使うと理想的です。

2. 外周から中心へ向かってブラッシング

使用するのは「レコード用カーボンブラシ」。繊細なカーボン繊維が静電気を除去しながら、溝に入り込んだほこりを取り除きます。ポイントは、盤の円周に沿って軽く動かすこと。強く押し付けると溝を傷めてしまいます。

3. クリーニング液を使う場合のコツ

汚れがひどい場合は、専用のクリーニング液または精製水を使いましょう。ティッシュではなく、マイクロファイバークロスで優しく拭き取ります。ELANでは、光学機器にも使えるほど繊維が細かいクロスを使用しています。

  • スプレーで盤面全体を軽く湿らせる
  • 外周から内側に向けてやさしく円を描くように拭く
  • 最後に乾いた部分で水分を残さず拭き取る

この時、市販のアルコールや洗剤は厳禁。成分によっては表面の樹脂を溶かしてしまうことがあります。

4. 乾燥は自然乾燥で

乾燥機やドライヤーはNGです。熱で盤が変形する恐れがあります。風通しのよい場所で、垂直に立てて自然乾燥させましょう。

5. 内袋・外袋も忘れずに交換

どんなに盤をきれいにしても、古い袋に戻せば再び汚れが付着します。新品の内袋・外袋をセットにして交換しましょう。ELANでも定期的に袋を入れ替え、レコード棚のメンテナンスをしています。


実際にELANで行う特別なクリーニング手法

ライブ喫茶ELANでは、通常のブラッシングに加え、「湿式クリーニング+レーザーターンテーブル」 という独自の方法を実践しています。

レーザーターンテーブルとは、針を使わずに光で音を拾うプレイヤーのこと。物理的な摩耗がないため、盤面への負担がほとんどありません。しかし、その美しい音を最大限に引き出すには、盤面を光が正確に反射できる状態に保つことが重要です。そのため、再生前には必ず「超純水クリーニング」を施します。

具体的には:

  • 精製水よりさらに純度の高い超純水を霧状に噴霧
  • 極細のワイプで一定方向に拭き上げ
  • 静電気除去ブラシで仕上げ

この工程によって、盤面に残るわずかな油分や帯電を除去します。結果として、聴こえなかったハイハットの余韻やベースラインの空気感まで再現できるのです。


絶対にやってはいけないNG行動

どんなに愛着のあるレコードでも、間違った扱いをすれば音質は一気に劣化します。ここでは、意外とやりがちなNG行動をまとめました。

1. ティッシュやキッチンペーパーで拭く

繊維が粗く、盤面を細かく傷つけてしまいます。

2. 指で溝をなぞる・触る

皮脂が酸化して黒ずみの原因に。レコードは指で触らず、縁を持ちましょう。

3. 水道水で洗う

カルシウムなどのミネラルが乾いたあと白く残ります。精製水を使うのが鉄則です。

4. 乾燥を急ぐ

ドライヤーや日光による乾燥は変形・反りの原因になります。

5. 保管中にレコードを重ねる

ジャケットごとに垂直に立てて収納します。重ねると中心が凹み、針飛びを起こしやすくなります。

ある日、初めてご来店されたお客様が「水道水で洗ったら音がガリッとする」と相談されました。拝見したところ、盤面に白い跡があり、それが原因で針がノイズを拾っていました。専用液で丁寧に洗浄したら、みるみる音がクリアになり、「まるで新品のよう」と笑顔になられました。


日常的なメンテナンス習慣をつくる

レコードをきれいに保つ秘訣は、「こまめなケア」。一度にまとめて掃除するよりも、再生のたびに軽くブラシをかけるだけで、長期的な劣化を防げます。

ELANでは、レコードを再生する前に必ず以下のルーティンを行っています。

  • 盤面をカーボンブラシで2〜3回軽く払う
  • 再生後、ほこりを落としてから収納する
  • 一定期間ごとに収納場所の湿度と温度を調整

店主の経験では、こうした日々の積み重ねが音の「深み」を育てます。お客様が「ELANの音はどこか柔らかい」と感じるのは、実はレコードそのものの状態が良いからでもあるのです。


ELANおすすめのクリーニンググッズ

レコードクリーニングを始めたいけれど、何を揃えればいいか分からない――そんな声をお客様からよくいただきます。ここでは、ELANが実際に使用しているアイテムの中から、初心者の方にもおすすめできるものをご紹介します。

カーボンブラシ

日常のお手入れに欠かせない基本アイテムです。価格は1,000円〜3,000円程度で、オーディオ専門店やネット通販で手に入ります。毛先が細かく、静電気除去機能があるものを選びましょう。ELANでは、ドイツ製のものを長年愛用しています。

クリーニング液

専用のレコードクリーニング液は、盤面を傷めずに汚れを浮かせてくれます。アルコールフリーのものを選ぶのがポイント。迷ったら、精製水でも十分です。薬局で手軽に購入できます。

マイクロファイバークロス

光学レンズ用のものがおすすめです。繊維が極めて細かく、盤面を傷つけません。洗って繰り返し使えるので経済的でもあります。

内袋・外袋

意外と見落としがちなのが収納袋です。静電気防止加工された内袋は、盤面への汚れ付着を大幅に減らしてくれます。外袋は透明度の高いものを選ぶと、ジャケットのアートワークも楽しめます。


よくある質問

Q. クリーニングはどのくらいの頻度で行えばいいですか?

再生前の軽いブラッシングは毎回行うのが理想です。クリーニング液を使った本格的な洗浄は、汚れが気になったときや、中古レコードを購入したときに行えば十分です。

Q. 古いレコードでも音は蘇りますか?

状態によりますが、多くの場合は改善が期待できます。深い傷や反りがなければ、正しいクリーニングで驚くほどクリアな音になることも珍しくありません。ELANにお持ちいただければ、状態を一緒に確認することもできます。

Q. レコードの保管で気をつけることは?

直射日光を避け、湿度50〜60%程度の場所で垂直に立てて保管してください。エアコンの風が直接当たる場所や、窓際も避けた方が安心です。


ぜひこれらを参考に、ご自宅でのレコードケアを始めてみてください。分からないことがあれば、ELANにお気軽にお声がけください。レコード談義をしながら、一緒に最高の音を探しましょう。

まとめ:レコードの手入れは「音楽との会話」

レコードクリーニングは、単なる作業ではなく、「音楽と向き合う時間」です。一枚一枚の盤に触れながら、その音が持つ空気・記憶・人の思いを感じ取る。そんな時間が、アナログの魅力なのではないでしょうか。

ライブ喫茶ELANでは、お客様の大切なレコードを持ち込んでの試聴も歓迎しています。音の違いを体感しながら、自分の一枚を最高のコンディションで鳴らしてみてください。

名古屋でアナログの音を愛する方へ――レコードのクリーニングは、音を蘇らせる魔法です。そしてその魔法は、正しい方法を知ることから始まります。

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Cafe & Music ELAN 

やわらかな音と、香り高い一杯を。

名古屋市熱田区外土居町9-37
光大井ハイツ1F 高蔵西館102
052-684-1711
 営業時間|10:00〜23:00
定休日|月曜・第1&第3火曜日
アクセス|金山総合駅より大津通り南へ徒歩15分
市営バス(栄21)泉楽通四丁目行き「高蔵」下車すぐ
地下鉄名城線「西高蔵」駅より東へ徒歩7分
JR熱田駅より北へ徒歩9分

ゆったりと流れる時間のなかで、
ハンドドリップのコーヒーとグランドピアノの音色がそっと寄り添います

あなたの今日が、少しやさしくなるように。
Live Café ELAN でお待ちしております