NEWS
2025年08月02日
「クラシックって、全部”楽譜通り”なの？」実はモーツァルトやバッハは、即興演奏の達人だった話
こんにちは、ライブ喫茶ELANです。今日は、多くの方が抱いているクラシック音楽への誤解について、コーヒーを片手にゆっくりとお話ししたいと思います。名古屋の隠れ家的な当店で、往年の名盤を聴きながら、音楽史の驚くべき真実を探ってみましょう。
クラシック音楽への一般的な誤解
「クラシック音楽は楽譜通りに演奏するもの」「即興性がない固い音楽」「決められたルールに従って演奏される厳格な芸術」そんなイメージを持っていませんか？実は、これは大きな誤解なのです。クラシック音楽の黄金時代と呼ばれるバロック期から古典派にかけて、即興演奏は音楽家にとって必須のスキルでした。むしろ、楽譜に書かれていることは基本的な設計図に過ぎず、演奏家はそこに自分なりの創造性を加えることが期待されていたのです。
当店に足を運んでくださるお客様の中にも、「クラシックは敷居が高い」「決まりきった演奏で面白くない」「ジャズの方が自由で面白い」とおっしゃる方がいらっしゃいます。しかし、実際のクラシック音楽の歴史を紐解いてみると、そこには驚くほど自由で創造的な世界が広がっているのです。現代のジャズやロックが持つ即興性や創造性は、実はクラシック音楽の伝統を受け継いだものなのです。
バッハの即興演奏への情熱と驚異的な技術
ヨハン・セバスティアン・バッハ（1685-1750）といえば、厳格で数学的な作曲家というイメージが強いかもしれません。「平均律クラヴィーア曲集」や「フーガの技法」といった作品から、計算され尽くした完璧な構造美を連想する方も多いでしょう。しかし、彼は当時最高の即興演奏家としても知られていました。バッハの同時代人たちの証言によると、彼の即興演奏は聴衆を魅了し、時には涙を流させるほどの感動を与えたといいます。
バッハが生きた時代、オルガニストや鍵盤楽器奏者にとって即興演奏は日常的な技術でした。教会での礼拝では、賛美歌の間奏や前奏、後奏を即興で演奏することが求められていました。単に音を埋めるだけでなく、会衆の心を神への祈りに導く重要な役割を担っていたのです。バッハはライプツィヒの聖トーマス教会のカントル（音楽監督）として、毎週日曜日に新しいカンタータを作曲・演奏する傍ら、オルガンでの即興演奏も披露していました。
特に有名なエピソードがあります。1747年、60歳を超えたバッハがプロイセン王フリードリヒ大王の宮廷を訪れた際のことです。大王はバッハに非常に複雑で扱いにくい主題を与え、その場で3声のフーガを即興演奏するよう求めました。これは音楽家にとって極めて困難な課題でしたが、バッハは見事にその課題をこなし、居合わせた宮廷音楽家たちを驚嘆させました。さらに、大王は6声のフーガをも求めましたが、これはさすがのバッハも即興では困難と判断し、後日作品として完成させることを約束しました。そして実際に、その主題を基にした「音楽の捧げ物」という大作を完成させたのです。
バッハの息子たちの証言によると、父親は家庭でも常に即興演奏を楽しんでいたといいます。夕食後の家族団らんの時間に、その日の出来事や感情を音楽で表現し、子どもたちに音楽の喜びを伝えていたのです。現存するバッハの作品の中にも、明らかに即興演奏から生まれたと思われるものが多数あります。
モーツァルトの天才的即興能力と驚くべきエピソード
ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト（1756-1791）の即興演奏能力は、同時代の人々を驚嘆させました。彼の即興演奏は単なる技巧の披露ではなく、その場で完璧な楽曲を創造する芸術でした。現代の私たちが楽譜で見るモーツァルトの作品は、実は彼の音楽的創造力のほんの一部に過ぎないのかもしれません。
モーツァルトの父レオポルドが残した詳細な手紙には、幼少期のヴォルフガングが各地で披露した即興演奏の様子が生き生きと記されています。6歳のモーツァルトは、聴衆が口ずさんだメロディーを瞬時に記憶し、それを基に美しい変奏曲やフーガを作り上げていました。ある時は、鍵盤に布をかけて見えない状態でも完璧な演奏を披露し、またある時は左手だけで複雑な楽曲を演奏してみせました。
ザルツブルク時代のモーツァルトについて、同時代の音楽家たちは異口同音に「彼の即興演奏を聴いた者は、二度と忘れることができない」と証言しています。特に印象的なのは、1777年にアウクスブルクで行われた演奏会でのエピソードです。モーツァルトは聴衆からリクエストされた民謡のメロディーを、バロック様式、ロココ様式、そして当時最新の感情豊かな様式で次々と演奏し、最後にはそれらすべてを組み合わせた壮大なフーガで締めくくったといいます。
ウィーン時代のモーツァルトは、サロンでの即興演奏コンサートで生計を立てていた時期もありました。貴族たちの前で披露される即興演奏は、彼の創造性と技術の高さを示す絶好の機会でした。特に有名なのは、1784年に行われたクレメンティとの「ピアノ対決」です。両者は即興演奏で技術を競い合い、その場にいた皇帝ヨーゼフ2世をはじめとする聴衆を魅了しました。モーツァルトはこの対決について、後に「クレメンティは優れた技術を持っているが、表現力と創造性において私が勝った」と自信満々に語っています。
現存するモーツァルトの変奏曲の多くは、こうした即興演奏を後から楽譜に起こしたものと考えられています。例えば、「ああ、お母さん聞いて」による変奏曲（通称「きらきら星変奏曲」）は、もともとパリのサロンで即興演奏されたものでした。楽譜を見ると、計画的に構成されているように見えますが、実際は即興演奏の自然な流れから生まれたものなのです。
古典派時代の演奏慣習と創造的自由
18世紀の演奏会では、現在のような「楽譜に忠実な演奏」という概念はありませんでした。作曲家が書いた楽譜は、現代の建築でいう設計図のようなもので、演奏家はその設計図を基に、自分なりの解釈と装飾を加えて音楽を完成させることが期待されていました。これは決して軽率な改変ではなく、音楽的素養と創造性を要求される高度な芸術行為だったのです。
特に協奏曲においては、独奏者が即興でカデンツァ（華やかな独奏部分）を演奏することが慣例でした。カデンツァは楽曲のクライマックスで演奏される重要な部分で、独奏者は主題を自由に発展させ、技巧的なパッセージや表現豊かなメロディーを織り交ぜながら、聴衆を感動の頂点へと導く役割を担っていました。モーツァルトのピアノ協奏曲を聴く際、現在では作曲者自身が後から書いたカデンツァを演奏することが多いですが、当時は演奏者がその場で作り上げる即興演奏だったのです。
また、通奏低音という演奏法も即興性に富んでいました。バロック音楽において、チェンバロやオルガン奏者は、楽譜に書かれた低音旋律と数字記号（これを数字付き低音と呼びます）を基に、右手の和音部分を即興で演奏していました。この技法は現在のジャズのコード演奏と非常に似ており、演奏者は和声進行を理解した上で、その場の雰囲気や他の楽器との対話に応じて、最適な和音の響きを選択していたのです。
声楽においても即興性は重要でした。歌手は楽譜に書かれたメロディーを基本としながら、反復される部分では必ず装飾を加えることが期待されていました。特にダ・カーポ・アリア（A-B-A形式のアリア）では、最後のA部分で歌手が自分の技術と創造性を存分に発揮することが慣例でした。これは現在のオペラ歌手にとっても大きな挑戦で、楽譜に書かれていない部分で真の実力が問われるのです。
装飾の自由度と表現の多様性
バロック音楽では、楽譜に書かれた音符は基本的な骨格に過ぎませんでした。演奏者は、その骨格に装飾音（オーナメント）を加えることで、音楽に華やかさと個性を与えていたのです。これは現代の私たちが想像する以上に自由度の高いものでした。
トリル、ターン、アッポジャトゥーラ、モルデント、アルペッジョなどの装飾音は、演奏者の裁量に委ねられていました。同じ楽曲でも、演奏者によって全く異なる表情を見せることがありました。これは現在のジャズのアドリブ演奏と非常に似た概念です。装飾の選択は、演奏者の音楽的センス、技術力、そしてその日の気分や会場の雰囲気によって決まったのです。
例えば、バッハの「ゴルトベルク変奏曲」のアリア部分を異なる演奏者の録音で聴き比べてみると、装飾の違いによる表現の多様性を実感できるでしょう。グレン・グールドの革新的な解釈、ヴァンダ・ランドフスカの古典的なアプローチ、アンドラーシュ・シフの現代的なセンス、それぞれが全く異なる音楽世界を創造しています。
ヘンデルの「水上の音楽」やバッハの「ブランデンブルク協奏曲」においても、装飾の違いは顕著に現れます。古楽器演奏の分野では、当時の演奏慣習を研究し、即興的な装飾を復活させる試みが続けられています。トレバー・ピノック、ジョン・エリオット・ガーディナー、フランス・ブリュッヘンといった指揮者たちは、楽譜の行間に隠された創造性を現代に蘇らせています。
楽譜に残された即興演奏の痕跡
現在私たちが目にするクラシック音楽の楽譜の中には、実は即興演奏から生まれた作品が数多く含まれています。これらの作品を注意深く分析すると、計画的な作曲とは異なる、即興演奏特有の特徴を見つけることができます。
バッハの「イタリア協奏曲」BWV971は、その典型例です。この作品の第1楽章には、突然の転調や予期しない和声進行が現れ、まるで演奏者が即興で思いついたかのような自由な展開が見られます。また「半音階的幻想曲とフーガ」BWV903の幻想曲部分は、明らかに即興演奏から生まれたものです。自由な拍子、突然の停止、劇的な転調など、即興演奏の特徴が随所に現れています。
モーツァルトの作品にも、即興演奏の痕跡を見つけることができます。ピアノソナタ第11番イ長調K.331の第1楽章は、主題と変奏の形式で書かれていますが、各変奏は明らかに即興演奏のアイデアから生まれたものです。特に第6変奏のアレグロ部分は、サロンでの即興演奏をそのまま楽譜に移したような自由さがあります。
ベートーヴェンの「テンペスト」ソナタ第17番作品31-2の第1楽章冒頭部分も、即興演奏の名残を感じさせます。アダージョとアレグロが交互に現れる劇的な構成は、計画的な作曲というよりも、ピアノの前で即興的に生まれたアイデアを発展させたもののように思われます。ベートーヴェン自身、優れた即興演奏家として知られており、ウィーンのサロンでの即興演奏で名声を得ていました。
通奏低音の世界 – バロック時代の創造的伴奏
通奏低音（ブラッソ・コンティヌオ）は、バロック音楽を理解する上で欠かせない概念です。これは現代のジャズにおけるリード・シートと似た概念で、低音部と数字記号だけが楽譜に書かれ、演奏者はそれを基に和音部分を即興で演奏していました。
チェンバロ奏者やオルガン奏者、リュート奏者は、数字記号を見て瞬時に適切な和音を判断し、さらにその和音をどのように響かせるか、どのような装飾を加えるかを、その場で決定していました。これは高度な音楽理論の知識と、豊富な演奏経験、そして創造的な想像力を要求される技術でした。
例えば、数字の「6」が書かれていれば6度の音を含む和音を、「♯」が書かれていればその音を半音上げることを意味しましたが、具体的にどの音をどのオクターブで演奏するか、どのような声部配置にするか、どの程度装飾を加えるかは、すべて演奏者の判断に委ねられていたのです。
バッハの「マタイ受難曲」やヘンデルの「メサイア」といった大作においても、通奏低音の部分は即興演奏でした。現在の演奏では、学者が復元した和音や現代の指揮者が用意した楽譜を使用することが多いですが、本来は演奏のたびに異なる響きを持っていたのです。
ライブ喫茶ELANでの音楽体験
当店では、そんなクラシック音楽の真の魅力を、リラックスした雰囲気の中で味わっていただけます。名古屋の静かな一角に佇む当店は、音楽愛好家たちの隠れ家的存在として親しまれています。広くゆったりとした店内には、所狭しと並ぶレコードの中に、即興性を重視した歴史的な演奏も数多く収蔵されています。
ヴィルヘルム・ケンプやエドウィン・フィッシャー、アルフレッド・コルトーといった往年のピアニストたちの演奏には、現在では失われつつある即興的な要素が息づいています。彼らの演奏を聴くと、楽譜に縛られない自由な音楽表現の素晴らしさを実感できるでしょう。特にケンプのベートーヴェン、フィッシャーのバッハ、コルトーのショパンは、楽譜を超えた創造的な解釈の見本といえます。
また、グレン・グールドのように、楽譜に書かれた内容を独自の解釈で再構成する現代の演奏家たちの録音も取り揃えています。グールドのバッハ演奏は、従来の演奏慣習を無視した革新的なアプローチで、バッハの音楽に新たな生命を吹き込みました。これらの演奏は、クラシック音楽における創造性の現代的な表現といえるでしょう。
古楽器演奏の分野からは、ニコラウス・アーノンクール、グスタフ・レオンハルト、フランス・ブリュッヘンなどの録音をご用意しています。彼らは楽譜に書かれていない装飾や即興的な要素を復活させ、バロック音楽本来の自由さを現代に伝えています。
コーヒーとともに味わう音楽の歴史
当店自慢のコーヒーを片手に、音楽史の興味深いエピソードに耳を傾ける時間は格別です。実は、コーヒーとクラシック音楽には深い関係があります。バッハは大のコーヒー愛好家として知られ、「コーヒー・カンタータ」BWV211という作品まで残しています。この作品は、コーヒーに夢中になる娘と、それを心配する父親の物語を描いたコミカルな作品ですが、当時のドイツにおけるコーヒー文化の普及を物語る貴重な資料でもあります。
モーツァルトもウィーンのカフェ文化を愛し、「ツル・メールスピンネ」（メール・スピンネ）や「シルバーヌス・コーヒーハウス」といった有名なカフェで多くの時間を過ごしました。これらのカフェは単なる喫茶店ではなく、音楽家、文学者、哲学者たちが集う文化的なサロンでした。モーツァルトはここで他の音楽家たちと交流し、新しいアイデアを得ていたのです。
ベートーヴェンは毎朝60粒のコーヒー豆を数えて淹れるという几帳面な習慣を持っていました。彼の創作活動にとって、コーヒーは欠かせないものだったのです。また、ロマン派の作曲家たちもカフェ文化と深く結びついており、シューベルトの「シューベルティアーデ」（シューベルトの仲間たちの集い）でも、コーヒーは重要な役割を果たしていました。
当店では、そんな音楽史の背景を感じながら、ゆったりとした時間をお過ごしいただけます。一杯のコーヒーから始まる音楽の旅を、ぜひお楽しみください。
即興演奏の技法と理論
クラシック音楽の即興演奏には、体系的な技法と理論が存在していました。これは決してでたらめな演奏ではなく、長年の研究と実践によって築き上げられた高度な芸術でした。
まず、和声学の深い理解が必要でした。演奏者は、調性システム、和音進行、対位法の原理を完全に把握している必要がありました。これらの知識なしに、説得力のある即興演奏は不可能だったのです。バッハの「平均律クラヴィーア曲集」は、単なる作品集ではなく、即興演奏のための教科書的な側面も持っていました。
形式感も重要でした。即興演奏といえども、音楽的な構造や論理性が求められました。フーガの技法、変奏曲の手法、ソナタ形式の原理など、作曲技法の知識が即興演奏にも応用されていたのです。
装飾技法には、地域的な特色もありました。イタリア式、フランス式、ドイツ式それぞれに異なる装飾の慣習があり、演奏者はこれらを使い分けていました。また、楽器によっても装飾の方法は異なりました。鍵盤楽器、弦楽器、管楽器、声楽それぞれに適した装飾技法が発達していたのです。
現代への影響と継承
クラシック音楽の即興性は、現代の様々な音楽ジャンルにも大きな影響を与えています。最も分かりやすい例がジャズです。ジャズの即興演奏は、まさにバロック時代の通奏低音の伝統を受け継いだものといえるでしょう。コードシンボルを基にした即興演奏、テーマの変奏、対話的なアンサンブルなど、多くの要素がクラシック音楽の伝統から継承されています。
現代のポピュラー音楽においても、クラシックの即興技法が活用されています。プログレッシブ・ロックのキーボード・ソロ、フュージョンの複雑な和声進行、現代のシンガーソングライターたちの装飾的な歌唱法など、その影響は広範囲に及んでいます。
また、現代のクラシック演奏においても、即興性を重視する動きが見られます。古楽器演奏の分野では、当時の演奏慣習を研究し、即興的な装飾を復活させる試みが続けられています。ジョルディ・サヴァール、ファビオ・ビオンディ、アレッサンドロ・デ・マルキなどの演奏家たちは、歴史的な演奏法を現代に蘇らせています。
現代音楽の分野でも、即興演奏は重要な位置を占めています。ジョン・ケージの偶然性の音楽、カールハインツ・シュトックハウゼンの直観音楽、現代の自由即興演奏など、クラシック音楽の即興性の伝統は形を変えながら継承され続けています。
教育における即興演奏の重要性
かつて音楽教育において、即興演奏は中核的な位置を占めていました。音楽院や大学では、即興演奏の能力なしに卒業することは考えられませんでした。学生たちは、与えられた主題を基にフーガを即興で演奏したり、通奏低音を実演したりすることが求められていました。
現代の音楽教育においても、即興演奏の重要性が再認識されつつあります。楽譜を読む能力だけでなく、音楽を創造する能力を育てることの大切さが理解されるようになったのです。即興演奏は、音楽理論の実践的な理解、創造性の開発、演奏技術の向上、音楽的コミュニケーション能力の育成など、多面的な教育効果を持っています。
技術の発達と記録の保存
現代の録音技術の発達により、過去の名演奏家たちの即興演奏の記録が残されています。これらの貴重な記録から、私たちは失われた演奏伝統を学ぶことができます。
当店でも、そうした歴史的録音を数多く所蔵しています。1900年代初頭のピアノロール録音、1920年代の電気録音、戦後の高音質録音など、技術の進歩とともに記録された演奏の変遷を辿ることができます。これらの録音を聴くと、時代とともに変化する演奏スタイルや、失われつつある即興的な要素を実感できるでしょう。
地域的な違いと文化的背景
即興演奏の伝統は、地域によって異なる発展を遂げました。イタリアでは声楽の装飾技法が発達し、フランスでは繊細で優雅な装飾が好まれ、ドイツでは対位法的な即興技法が重視されました。これらの地域的特色は、それぞれの文化的背景と密接に関連していました。
イタリアのオペラ文化は、歌手の創造性を最大限に尊重しました。ベルカント唱法では、楽譜に書かれたメロディーはあくまで基本形であり、歌手はそれを自分なりに装飾し、表現することが期待されていました。カストラート歌手たちの驚異的な技巧と創造性は、この伝統の頂点を示すものでした。
フランスのクラヴサン音楽では、繊細で洗練された装飾技法が発達しました。フランソワ・クープランやジャン=フィリップ・ラモーの作品には、詳細な装飾記号が書かれていますが、これらは演奏者への指針であり、実際の演奏ではさらなる装飾が加えられることが期待されていました。
ドイツの伝統では、対位法的な即興演奏が重視されました。バッハやヘンデルに代表されるこの伝統では、単なる装飾ではなく、音楽の構造そのものを即興で構築する高度な技術が求められました。
まとめ
「クラシック音楽は楽譜通りに演奏するもの」という固定観念を捨てて、その背景にある豊かな即興性に目を向けてみてください。バッハやモーツァルトといった偉大な作曲家たちが、実は自由で創造的な即興演奏家でもあったという事実は、クラシック音楽への見方を大きく変えるかもしれません。
ライブ喫茶ELANでは、そんなクラシック音楽の多面的な魅力を、美味しいコーヒーとともにお楽しみいただけます。広くゆったりとした店内で、往年の名演奏家たちのレコードに耳を傾けながら、音楽の新たな発見をしてみませんか。
皆様のお越しを、心よりお待ちしております。音楽とコーヒーを愛する全ての方にとって、当店が特別なくつろぎの空間となれば幸いです。
ライブ喫茶ELAN 名古屋市内 音楽とコーヒーを楽しむ隠れ家 広く落ち着いた雰囲気の店内に、往年の名曲を収めたレコードが所狭しと並ぶ。 音楽を楽しみながら、ゆったりとしたくつろぎの時間をお過ごしください。
＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝
Cafe & Music ELAN
やわらかな音と、香り高い一杯を。
名古屋市熱田区外土居町9-37
光大井ハイツ1F 高蔵西館102
052-684-1711
営業時間｜10:00〜23:00
定休日｜月曜・第1＆第3火曜日
アクセス｜金山総合駅より大津通り南へ徒歩１５分
市営バス（栄２１）泉楽通四丁目行き「高蔵」下車すぐ
地下鉄名城線「西高蔵」駅より東へ徒歩７分
JR熱田駅より北へ徒歩９分
ゆったりと流れる時間のなかで、
ハンドドリップのコーヒーとグランドピアノの音色がそっと寄り添います
あなたの今日が、少しやさしくなるように。
Live Café ELAN でお待ちしております